夢路

4/6

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「あー、でも祭囃子君が現姐さんを殺しちゃう可能性はあるなぁ。やっぱり止めた方がいいのかな?」 俺に訊くな 「じゃあまぁそういうことで、俺も行くよ。留守番よろしく」 嫌な予感 虫の知らせ 何かが来る 「よぉ」 来た 「夢助の奴はいねぇのか…。まぁいい、少し待たせてもらうぞ」 あいつは いつか俺が 殺す。 「…死ねばいいのに」 「誰がだ?」 聞こえていた 「…お前、なんか勘違いしてねぇか?」 勘違い 「俺らは『屍族』もう死んでんだ。だから『死ぬ』の表現はおかしい」 じゃあ何と 「俺は『消える』って言ってる。楽楽や寝寝、遊師もそう言ってんだろ?」 そう 死体を消えると 言っていた 「祭囃子は『死ぬ』だが、あいつにとって俺らは『屍族』に値しないから例外だ」 あの人は 屍を殺せる。 「…寝寝か」 この人の後ろの扉に 彼が立っていた 「…楽楽がいない」 「いつからだ」 「前」 「いつからだ」 「前から」 「…1週間以上前か」 「前」 「2週間以上前か」 「…」 「そこらへんか」 あの時から 「ま、てめえは寝てることが多いから、はっきりはわかんねぇだろうが…お前が寝てる間に帰って来て、起きたときにだけいないっていうのはねぇのか」 可能性は 「無い」 「言い切るな」 「そう思って、4日間寝てない」 「…だからそんなに消えそうなのかてめえは」 目の焦点が 合っていない 立っているのも ままならない 今にも 今にも… 「わかった。こっちも捜す。だからてめえは寝ろ」 「やだ」 「寝ろ」 「やだ」 「…寝ろっつってんだろ」 「寝てる間に帰って来たら…もう会えない」 「…」 「そんな気がする」 「帰って来たらちゃんと起こす。てめえが起きなかったらあいつを待たす」 「起こすなって言うかもしれない」 「それでも起こす」 「待たないって言うかもしれない」 「それでも待たす」 「逃げるかもしれない」 「…喧嘩でもしたのか?」 「わからない」 相手の気持ちは わからない だからこんなに 恐れる 「いつもと何も変わらなかった。でもいつもが嫌だったら…嫌われたかも」 いつもは一番無意識で いつもは一番通常で いつもは一番自分だから いつもは一番わからない 「安心しろ、あいつはてめえの事を自慢してたんだ。嫌っちゃいねぇよ」 「楽楽が側にいてくれたらそれでいい。一緒にいれたらそれでいい。だから何もしなかった。それが楽楽にとって辛い事なら、もう望まない」
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加