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「盗聴機じゃのぅ」
手の中に
砕けた機械の破片。
あいつは
殺そうと
心に決めた。
「どうせ夢助が入れたんじゃろう?あいつも困った奴やのぅ」
今度
彼に頼んで
殺してもらおう
「で、暖かいところじゃったの…喫茶店とかなら…暖房は効いとるじゃろうな」
「じゃあ、そこで」
この人の笑顔が
今はとても
暖かかった
店の中は、外とは比べ物にならないくらい、快適だった。
「あの人は…いいんですか?」
あいつは拗ねると言っていたが。
「寝寝か?…んー、大丈夫ぜよ。祭囃子と遊師も一緒じゃき。拗ねたりするような年頃でもないしのぅ」
なら、いいのだが。
「…なんかすまんのぅ。いろいろと気ぃ使うてもろうとるみたいで」
「いえ…全然そんなこと…。前だって、俺は何もしてなかったわけですし」
そう。俺は、ただ見ているだけだった。何もしていない。
「こっちやって、おまんにはなんちゃしとらんぜよ。じゃが、前は間違いなく迷惑かけたじゃろ。なら、礼をするんが礼儀じゃろう?」
別に迷惑などではなかったのだが。
「礼なら、もう一人の方に、してください」
「夜光か。あいつにはもうしとるぜよ。あいつは、おまんにしとけ、言うとったぜよ」
本当に
わけがわからない。
「ま、今日は奢るぜよ。好きなん頼みんしゃい。朝飯、食べてないんじゃろ?」
そういえば、食べていなかった。
「じゃあ…カツサンドセットを」
「飲み物は?」
「ホットミルクで」
「りょーかい」
凄く
気分のいい
朝だった。
「ホンマにもうええんか?」
「ええ。ご馳走様でした」
「お粗末様。またなんかあったら、言うてつか」
「はい。ありがとうございました」
「じゃあの。気ぃつけて帰りんしゃい」
「はい。ではまた」
あの人の気持ちがよくわかる。
この人となら
一緒にいるだけで
充分な気がする。
「美味しかった?カツサンドセット」
最悪
「此処はかなり人気な喫茶店なんだよ?常連客は山ほどいるし、俺も来たことあるけど、日替わりランチがオススメだね。喫茶店らしく、紅茶やケーキもいけるよ」
貴重な情報だな。わかったから死ね。
「盗聴機がそんなに嫌だったかなぁ。まさかあんなに早く見つかるとは思ってなかったからね。ちょっと驚いたよ」
盗聴機じゃない。お前が嫌なんだ。
「そんな目で見ないでよ。今度ケーキセット奢るから」
お前に奢られるくらいなら、自腹で五回食べる。
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