夢絵

2/6
前へ
/47ページ
次へ
凄く寒かった。 外には雪が積もっていた。 よく見ると、誰かが雪合戦をしていた。 息が白い。 「寒いのはわかるけど、掛布団を体に巻いて外を見る姿は妙に面白いよ?」 寒いのだから仕方がない。 お前は勝手に部屋に入って来るな。 「今日は何にも無いし、現姐さんもどっか行ってるから、ごろごろしときなよ」 遠慮なく。 「じゃ、俺は出掛けるから、留守番よろしく」 嫌な予感。 「大丈夫だよ。今日は誰とも会う約束はしてないから」 嘘臭い。 二度寝をするのは久しぶりだ。布団の温もりが心地よい。 「あーぁ、幸せそうな顔してさ」 「ええやんか。たまには祝福の一時も必要やで?」 「ねぇ、俺も入れてよ。此処寒い」 「やめとき」 「なんであんなに寒い思いして此処まで来たのに此処まで寒いのかなぁ…」 無視しても 大丈夫だろうか。 「夢助知らない?殺しに来たんだけど」 起きたくなかった。 「黙ってたら君から殺すよ」 それは嫌だ。 起きようと目を開けると、首元に ペーパーナイフ 起きずに喋れと 言うのだろうか。 「あ、惜しい」 「祭囃子、手ぇ出すん早いでぇ?」 「警告はしたよ」 いい加減、放してほしいのだが。 「ほら、早く吐いてくれないと、殺すことになるけど」 俺も、あいつの行き先なんて知らない。 「そっか。じゃあしょうがないね」 だから放してほしい。 「祭囃子君、いい加減放してあげてくれないかな」 何故あいつがいる。 「あ、なんだ。いたんだ」 「忘れ物を取りに帰ってきただけだよ。どうでもいい物だけどね」 「じゃあさ、この前の続き、やろうか」 やるなら部屋を移ってほしい。 「此処じゃ狭いからさ。外行こうか」 「いいよ」 今日は 嫌に 素直だな 「ほな、邪魔したな。風邪引かんようにな」 部屋には 俺だけが 残った 外でしていた爆音も遠ざかっていた。それでも布団から出る気にはならない。 「邪魔するぞ」 あいつ 本当に 誰も呼んでいないのか 「…良い御身分だな。朝っぱらからミノムシか」 寒いのだから仕方がない。 「おい、暖房器具は無いのか」 リモコンが無い。 「最低だな」 今日は二人来ている。 たが 相変わらず 黒の人は 喋らない 「無駄話でもしに来たんだが…寒いな」 外は雪。 暖房器具も使えない。 当然寒いだろう。 「夢助はどうした」 あの人と、喧嘩をしに。 「あの人…祭囃子か?まぁ誰でもいいが…仕方ねぇな。お前でいい。無駄話に付き合え」
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加