夢絵

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「カップラーメン、カップ焼きそば、レトルトカレー、冷凍炒飯…自分こんなもんばっか食うとるんか?どんだけ典型的な引きこもり食やねん」 引きこもり食ってなんだ。 「健康に悪いもんばっかやなぁ…。脂肪と塩分の取りすぎやで。野菜食い?」 サラダは買ってる。 「現姐さんが短気なんは、ホンマにカルシウム不足なんやろうな。今度干し魚でも差し入れよか?」 勝手にしろ。 「ちょい待ち。なんで料理の形跡無いのに包丁が刃溢れしてへんのや。全部研ぎたてホカホカやないか」 知るか。漁るな。 「ん?料理してへんにしては、野菜が新鮮やないか?」 あの人は、丸かじり派。 「フレッシュやなぁ…」 漁るな。賞味期限を確かめるな。 「調味料はないんか?」 知るか。見たことはない。 「なんかおもろいもんないんか?」 リビングに移動するな。 「おー、クマのブーさんのぬいぐるみやないか。めっちゃ切り刻まれとるけど」 裂けたぬいぐるみで遊ぶな。振り回すな。持ってくるな。 「他には…」 持ってかえれ。元の場所に戻せ。布団に入れるな。 「おー、猫やないか」 置物か。ぬいぐるみか。 「ほら見てみ!」 ニャー… 本物だ。連れてくるな。 「人によう慣れとるなぁ、この猫。どっから迷い込んで来たんや?」 知るか。 「とりあえず、外に出してくるわ」 ニャー…… 窓が開いて何かが急速に遠ざかって行く声がしたのだが。 「気のせいやろ。お、あれなんや?」 いい加減、布団から出ないと危険な気がする。 「なんやこれ?」 わけのわからない物を振り回すな。 「おー、起きたんかい」 誰のせいだ。 「人のせいにしたらいかんでぇ?なぁ、この顔の形したんなんや?」 貯金箱。口から入れる。 「悪趣味やなぁ」 余計なお世話だ。文句があるならあいつに言え。 「ふーん…自分ん家おもろいな。1週間は飽きんわ」 いい加減帰れ。 「祭囃子待たなおっかれるさかい。そんなに睨まんといてぇな。もうなるべく荒らさんし、漁らんようにする…と思う」 誓え。 「…んなこと言うたかて、めっちゃおもろいのにからに」 拗ねないでほしい。 「あ、盗聴機」 壊せ。 「自身の家にまで付けとるんかいな…」 までってなんだ。 「祭囃子が夢助追いかけとるんは、夢助が祭囃子に盗聴機仕掛けようとしたからなんで?」 早く殺れ 「せやから今、追いかけ回しとるんやろ?祭囃子は本気やで?」 あいつは遊びとしか思ってないだろう。
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