夢現

2/4

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
凄く寒かった いや、暑かったかな とにかく、凄く気分が悪かった。 俺はただ1人で布団に座っていた。 今までとは違う環境、違う人々。 もう太陽は昇りきっている時間。 それでも起きる気にはならず ただ座っていた。 「おい餓鬼!夢助はどうした」 いきなり襖が開いたかと思うと、着物に煙管の女性が入ってきた。かなり御立腹のようだ。 「ったくあのクソ餓鬼が!今日は大事な行事だとあれほど言ったのに!!」 あいつは、今此処にはいない。何処にいるかなんて知らない。何処かにいる。いや、いないかもしれない。もう既に 「チッ、あの野郎…見つけたら9割殺してやる」 生きるには1割で充分だ。あいつは9割くらいじゃ死なない。 「おい餓鬼、テメエもいつまでも寝てねぇで働けや」 寝ていた訳じゃない。ただ、座っていただけだ。どうせこの人には解らない。あいつにも解るわけがない。そうだ。解るわけがない。 「何ボケッと座ってんだ。昼食でも食ってこい」 お腹は空いていない。が、一応立つ。 女の人はもういない。窓から飛び降りた。此処は2階。普通に平気だ。 昼食は食べない。食欲が無い。 「おはよう」 襖を開けると、あいつが立っていた。 相変わらず 気持ち悪い。 「女の人が捜してた」 「だろうね。だから逃げてるんだよ。怒ってたでしょ?」 火に油を注ぐのが大好きなあいつ。 いつもニヤニヤして、死神が悪魔の脳味噌を狂わしている。 本当に気持ち悪い。 「君は今日、どうするの?」 知っているくせに 知らないフリをする。 だからこれほどに気持ち悪い。 「…嫌われちゃったかな?まぁいいけど。変な事に首突っ込まない方がいいよ」 余計なお世話だ。自分の身くらい自分で守れる。 「2番号地でさ、なんか楽しいことあったらしいし…ね」 いかにも 行け とでも言いたいかのような 好かない こいつは本当に 5回くらい死ぬべきだ。 「俺はまだ死にたくないよ。君とは違ってさ」 …50回以上に増やそう。 死なないなら 殺してやる。 「物騒だねぇ。穏便に生きなよ」 なんでこいつは 死なないんだろう。 なんで神は こいつを殺さないんだろう。 「ちなみに、俺は『神』とか信じないからさ」 ………心を読まれるのは 嫌いだ だからこいつも 「じゃあ俺は逃げるよ。見つかったら、ホントに容赦ないからさ、あいつ」 「死ね」 「無理だよ」 即答 うざい 「仲良くしようよ。俺達は『屍族』なんだから」 関係ない
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加