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「仲直りしたのは、まぁ、いいことだ。よかった、よかった。だがしかし、お前ら……今はまだ夏だ。真夏だ。今日も今日とて、真夏日だ。俺の言いたいことが分かるか? 緋月にカノンよ」
「へ?」
「真夏の太陽にも負けずに、カノン様とイチャイチャラブラブしろってことですかね?」
「ちっがぁぁぁぁう!! ただでさえ、クソ暑いんだ!! 少しは自重しろってことだ、バカップル!!」
翌日の朝食時、食卓の席に着いたカノン様のお世話をしていると、何故だか苛立ったキョウがぎゃあぎゃあと騒ぎ始めた。
どうやらキョウの言い分は、『暑苦しいから、あんまりくっつくな。イチャつくなら余所でやれ』ということらしい。
……あれだけ仲直りをしろ、と言っていた人の言うことではありませんねぇ、まったく。
「羨ましいなら、お前もほたるにしてやればいいじゃないか。若しくは、お前がほたるにしてもらえ」
「ああ、カノン様。口元にジャムが付いていますよ。ほら、じっとして……」
「んむっ」
「はい、とれました。お野菜のスープも、きちんとお飲みになってくださいね。はい、あーん」
「あー」
「っだぁ! 鬱陶しいっ、暑苦しいっ、イライラする!」
キイィィィッ、とキョウは奇声を発する。
それをほたるは、じっと見上げていた。
そして、おもむろにロールパンを掴み上げ、ほたるはそれを思いっきりキョウの口内へと押し込んだ。
「とう……!」
「んぐっ!?」
喉奥付近まで押し込まれたようで、キョウは窒息寸前。
「五月蝿い、キョウ。キョウの方が、鬱陶しいし暑苦しいしイライラする……。パンあげるから、ちょっと黙ってて」
…………ほたる、強くなりましたね。
真夏日だけあって、皆さん暑さにやられているようです。
せめて、この真夏日が和らぐまでは……下手なことはしないでおこうと、僕は決心した。
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