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出会い~歳、現る~
「あの、君ここの場生?」後ろから、男の子の声がした。振り向くと、そこには色白で細めの体の男の子が上質そうな着物を着て、立っていた。歳は……15歳くらいかなぁ…。私より、少し年上っぽいな。
「はい、そうですけど…」「じゃあ、僕を先生に会わせてくれないかな?」
「いいですけど……。」
私が言うと彼は、ぱぁっと笑顔になった。なんてキレイに笑える人なんだろう。私には、とても真似出来ない。
「じゃあ、行きますか?」「うん。……あ!その前に君の名前聞いていい?」
「ああ!私は、志穂です!海津志穂。……あの、貴方は?」
「僕は…歳。」
彼 ――歳は少し照れくさそうに笑って言った。
「さあ、行こう。」
歳の声に私も歩き出した。
「あの……林田先生。お客様です。」
「お客様ぁ?」
「はい。」
私の言葉に林田先生は怪訝そうに返した。
「この須々木道場に入りたくて参りました。佐々木歳と申します。」
さっそく歳が自己紹介をした。
「お前、歳は?」
林田先生が歳に聞く。
「15です。」
「15かぁ、うーん……。そうだ!そこにいる志穂に剣道で勝ったらいいぞ。」林田先生、歳を道場に入れたくないのかな?私に相手をさせるって事は……。「わかりました。勝ちます。」
え、えぇぇぇぇぇッッ⁉
私はまだ良いなんて言ってないのにぃ!
……ちょっ!林田先生もうなずかないでよ!
「よし!決まりだな。手合わせは、明後日の早朝に行う。」
「はい。」
うそ➰!?
こうして歳と私の初手合わせは、強引にも、開始するのだった ――
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