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その日、就職したばかりの青年、鬼崎一聖(きざきいっせい)は走っていた。
寝坊だ。
交差点で遅刻したのであろう、眼鏡を掛けた女子高生とぶつかりながらも青年は走り続けた。
(くっそ! ついてねぇ、目覚ましが電池切れなんてよぉ)
現在の時刻AM8:25。
仕事の開始時間は8:30からだ。
「間に合ってたまるかぁあ!」
喚いた後、一聖は携帯を取り出す。
会社に遅刻の知らせを入れるためだ。
電話帳機能を開き、会社の欄のボタンを押す。
後は通話ボタンを押すだけだ。
しかし、会社に先を越された。
向こうから電話が掛かってきてしまった。
「……もしもし」
『鬼崎君、遅刻ね』
「すんません」
『それよりも悪い情報をあげる』
「……なんすか」
『ヴェノムが来るわ』
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