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「……あれは貴方が悪いからね。おかげで大屋さんに怒られちゃったじゃない」
「……すまん」
現在、風呂場前。彼は風呂の中で、私はその扉の前。
数分前……私の叫びを聞いて駆け付けた大屋さんを玄関の前で足止めして必死の言い訳。
おかげで『彼氏ができなくて悔しくて叫んだ』なんて痛い人と認識される羽目になっちゃった……うぅ、なんだか泣きたくなってきた。
「……しかしお前、とことん変わってるな」
「なによっ!? まだ悪口言うの!?」
風呂から出たらもう一度縛り上げてやるっ!
「……いや、いい意味で、だ」
「??」
「……ありがとう。仮にも“信用”してくれて。きっと他の奴なら誰でも警察行きだった」
当たり前だよ。変態さんなんだから。
「……貴方――啓太、だっけ? 啓太はこれからどうするの?」
「……まずは自分にできることをしたい。お前に……認められたい。そのために金も使わず、ここまできた」
「……空腹で倒れるまでね」
「グッ!? ……そこを突っ込まれると……」
「……貴方も充分、ドジだよね」
「……かもな」
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