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ところがその子は変態の後ろに隠れてこちらを伺っています。
なるほど。きっと『仲間になりたそうに』ってやつだね。
「大丈夫。お姉ちゃんはその“変態”兼“女の敵”兼“ベト○ター”と違って安心だからね」
「あまりにも酷くないですかねぇ!?」
「あっごめんなさい、ベトベ○ンだった」
「進化した!?」
もううるさいなぁ。早くその子をこっちへ――
ヒョイ
避けられました。その子に。
「? どうしたの?」
なんだか怖そう。……そっか。私だってこの子からしたら“知らない人”だもんね。
その子にゆっくり右手を伸ばす。決してこっちから無理矢理じゃなく、あっちから来れるように。
「……大丈夫だよ」
そう言うと、恐々としながらも私の手を握る。
「……この子、はぐれたようなんだ」
そっか。じゃあやっぱり――
「一緒に親、探してくれないか?」
まただ。この眼差し。
「あったり前!」
――この、真剣な眼差し。
***
「まさか見つかるとはな! 諦めずにやってみるもんだ!」
その子をお母さんに引き渡すと、私たちは夕日に照る帰路についていた。
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