7人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「……ねぇ」
「ん? なんだ?」
今日のことで……確かめたいことがある。
「……啓太は、私が断ったら、どうするの?」
「……その時にまた考えるさ」
ははっ、と笑って見せる。
「しかも、どうするか決めたはいいが、具体的に“こうする”とか決まっていない……というか、そんなこと考えたこともなかったから、どうすればいいかわからない」
少し自嘲気味の笑い方。
「だが、勘違いはしないでほしいぞ?」
「???」
「俺は“お前がダメだったら次のやつ”なんて軽く考えてるつもりはもっとうない! 俺は真剣だ! それだけは嘘じゃない!」
……うん。やっぱりだ。
「……ふふっ!」
「なっ……なんか俺は、面白いことを言ったか?」
「ううん。別になんでもない」
やっぱりこいつ、馬鹿なんだ。
それも普通の馬鹿じゃなく、大馬鹿。いい意味の。
さっきだって、お母さんを探すのにほんとに必死で。
「……一週間」
「ん?」
「一週間だけ……啓太に付き合ってあげるよ。そのあと私、お盆で田舎に帰っちゃうから」
だから……ほんの少しだけ、啓太に付き合ってみよう。
――良くも悪くも、私自身も、自分の何かを変えるために。
.
最初のコメントを投稿しよう!