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扉を閉めるなり、私は自分の部屋に直行する。
「鳴海ー?千鶴君何の用事だったのー?」
おかんの声が追いかけてくるが、
「うん。ちょっとね!」
適当に答えて、ゲームの起動ボタンを押す。
いい加減聞き慣れた音楽が流れて『ミナコウ』のスタート画面になる。
試すからには、ストーリーの最初からの方が良いだろう。
私は、[はじめから]を選んでUSBポートに千鶴作の人口知能を差し込んだ。ワクワクとロード画面を見守る。
しかし、なかなかプロローグが始まらない。
「うそ!?壊れた!?」
駄目じゃん千鶴!!
私は急いでUSBを抜こうと、ハード機に手を伸ばした。
瞬間。
指先に痛みが走る。
「え…?」
痛んだ手元を見ると、指先がモザイクのように角ばった形に変形していた。
「や!何これ!?」
叫ぶ間にも、電気で刺激されるような激痛が続き、モザイク部分が広がっていく。
「え、やだやだやだやだ!
千鶴ーーーーーー!!」
千鶴の名前を呼びながら、喉元まで痛みが来て、私は自分の意識が薄れていくのを感じた。
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