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澄んだ瞳。
形の良い唇。
白い肌。
スラリとした長身。
小さな顔。
「一ノ瀬伊吹ーーーッ!?」
私は絶叫する。
間違えるはずがない。2年間、ほぼ毎日恋い焦がれた存在だ。
一ノ瀬伊吹と思われる男子は、私から半歩離れながら更に顔を歪める。
「…ストーカー??」
ぬぉ!?凄い勘違いされてる!!
「違う違う!全然怪しいものじゃないの!」
「じゃぁ何?なんで僕の名前知ってるの?」
即座に聞かれた。
「えと…、それは…。」
自分でもよく分からない状況なのに説明できる訳がない。その間にも、一ノ瀬伊吹は胡散臭そうな視線を向けてくる。
「…変態??」
うわ!なんか扱い酷くなった!
「違う~!!」
焦れったくて地団駄を踏む。
「そんなパイナップルみたいな頭で言われても、なんの説得力もないよ。」
「はぅ!?」
私は頭に触れた。どうやら私は現実の格好のまま、ゲームの世界にいるらしい。
「伊吹?どうした?」
門の裏から、また1人新たな人が現れる。
短い黒髪に、黒縁眼鏡。
眼鏡の奥の瞳は優しげな垂れ目だ。首がすっと長く、白いシャツがめちゃくちゃ似合っている。
この人は!!
「朝倉大和ーーー!?」
私はまたしても叫んだ。
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