234人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁ…。」
千鶴がまた話しかけてくる。プリンにもまったく手をつけていない。
「ん~?さっきからどうしたの?冷たいうちに早く食べなよ。」
私はプリンを指差す。しかし千鶴は真面目な顔をして私を見つめた。
「俺がお前のこと好きだって言ったら、どうする?」
「…。ぶん殴る。」
私は即答した。
「はぁ!?」
千鶴は顔を真っ青にして立ち上がる。
「八つ裂きにする。埋める。」
私は続けて言う。
「ちょ、埋めるて何!?
俺殺されんの!?」
「人を馬鹿にするのもいい加減にしてよ。だいたい千鶴、好きな人いるって言ってたじゃん。」
私はため息をついた。どうせ私の反応を見て、からかう気なんだろう。その手には乗らねーヨ。
「なっ!それは…!
つかなんだよその態度!
ここでは頬染めるべきだろ。
だから恋愛と無縁なんだよ。
本当、女子力低すぎ!」
千鶴がまた暴言を吐き始める。
「あー!それを試した訳か!あんたおせっかいにも程があるよ」
だんだん腹が立ってきた。こいつは、親しき仲にも礼儀ありっていうことわざ知らないのか?
千鶴は学校では格好良いと騒がれたりもするのだが、小さな頃からずっと一緒にいたせいか、私はイマイチよく分からない。
『千鶴君と幼なじみなんていいなぁ』
なんて言われることもあるけど、こんなデリカシーの欠片も無い奴のどこが良いんだか。
「鈍すぎんだよ!お前は!
一生、乙女ゲームで満足してろ!」
千鶴はさっき私が投げたクッションを手に取り地面に投げつけると、そんな捨て台詞を残して部屋を飛び出して行った。
なんだあいつ…。
最初のコメントを投稿しよう!