願い-ミカヤ-

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意を決して、私は口に出した。 「私ね…幸せになりたいのっ!」 叫ぶような声を出した。そうじゃないと、歓声に掻き消されてしまうから。 聞こえたのか聞こえなかったのか彼は目を見開き固まったまま。 聞こえなかったと悟った私はもう一度息を吸い叫ぼうとした。 途端に彼は右手の人差し指で私の唇に触れた。 彼は頷いた。聞こえてたのかな。 もしかしてこれを以心伝心っていうのかな。 私は勝手な思い込みに人の心を読める力があるのにも関わらず使わなかった。 あまりの嬉しさにそんなことをする余裕もなかったから。
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