終幕と開幕。

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「そこからの流れはあっという間でしたね、速すぎて記憶が追いつかない程に。久音が邦岡をフって僕が久音をフって、僕もある人にフられました。周りの人間関係が軒並み失恋しまくりで逆に笑えます。僕はその当時既に久音の事は好きでしたが、それはLOVEではなくlikeだったので断りました」 「そうしたゴタゴタの後、関係も落ち着き季節は秋、そして冬に。受験勉強のシーズンでもあり、僕と久音は生徒会もある。皆それぞれが自分の事に集中し始め、その過程で自身を見つめ直した事でしょう。将来の進路なり夢なりと。僕も洩れなく考えて、その時にこのお金の関係を切ろうと思ったのです。恥ずかしながら、行動が遅すぎたくらいですが」 一通り話し終え、仁さんの反応を待つ。五秒程考える様子を見せ、仁さんは「なるほど」と呟いた。 「前に仁さんは僕が久音と喧嘩した時に、僕に対して久音には良い教育になったと仰られましたよね? 僕も久音に教えて貰ったんですよ。言葉でなく、態度で。ああいや言葉からも学びましたが。いつまでちんたらしてるのかとね。勿論久音が僕に直接言った訳ではないし、僕の一方的な解釈かもしれません。けれど久音の立ち振る舞いを見て解釈し、自分を見直そうと決心をしたのは間違いなく久音のおかげなのです」 「そんな偉大な彼女の横にいる理由が、お金では嫌になりました。以上です、他には何もないですよ」
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