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「今日も影人が見栄を張りまして、手伝う事になりましたわ」
「いきなり長峰クラスの動きが出来たら、僕は増員なんてしてないやい」
「ハッハッハ! 私は慣れていたからね。私並みに動かれたらそれまでの私の立場は一体どうなる?」
「無くなるな」
「虎、言っていい事と悪い事があるぞチョップ!」
「くうか! あだっ!?」
初撃を避けたのは賞賛ものだが、虎は二撃目をあっさり食らっていた。茶番を見て僕らがクスクスと笑っていると、長峰が僕の横に居た久音に耳打ちをしている。
内容はさっぱり聞き取れないが、久音は若干顔を赤くしている。しかし時間も時間だからか、恥ずかしさのあまりに……とかで怒鳴り出す事はなかった。成長している。
長峰が虎から離れたため、僕は僕で最近の虎の状況でも聞く事にした。
「虎、最近どうなの?」
「……俺、男として魅力ないのかなあ……?」
「さあ」
「そこは嘘でもあるって言って!?」
「あるよ」
「悲しくなってきた」
どうやら芳しくないようで。難攻不落の要塞を攻略しようとしてるのだから、簡単な訳は無いんだけど……。
「マジレスするなら、僕よりは百万倍あるよ」
「そうか?」
「虎、面倒見いいし。明るいし交友関係も広い。多趣味だから色んな人との共通の話題で会話できるし。何よりイケメン。あとは自分磨きすれば余裕じゃない?」
「えっ、俺そんなに高評価なの? オタクだぞ?」
「オタク趣味は隠せば大丈夫……でも相手が高嶺の花だからなあ。しかも高嶺颪(おろし)による妨害」
「……なにそれ?」
「ただでさえ山頂にあるような花なのに、突風とかで登山を妨げるような状況って感じ」
めっちゃ適当に言った。
「もうダメだ」
そしてガチへこみしていた。
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