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「久音、お前は凄いよ。そういう気持ちを隠さず吐露して、前に進もうとしているんだから。だからこそ聞きたい。どうして僕の事を、好きになるまで見てくれたんだ?」
常々思っていた。
優しいとかの理由は色々前に聞いたけれども。何故そう気付く程に僕を見てくれたのか。
僕らの出会いは最低なもんだった。クラスメイトに今の会長と副会長の状況を見られるたびに出会いをいじられるくらいには。
「……はい!? ななななな、何を!?」
「顔面赤くしなくていいよ」
「……もう。なんでそんな冷静なんですのっ」
「そりゃ気になるからね。だって好きになるくらいなんだから、一目惚れでも無い限りは内面を見てくれたって事じゃないの?」
久音は、邦岡が好きだった。十年来越しのレベルで。簡単に崩れる気持ちでは無かった筈である、そんな人間が僕みたいなクソ野郎に一目惚れなんて有り得ない。
でも、不思議な事に現実問題、僕は過去に久音に告られている。ならば何かしら理由はあるんだけど、その理由は聞いた。ならなんでその理由を知ったんだ? って話だ。
そこまで考えた所で久音を見たら、彼女は呆れていた。盛大に溜め息を吐きながら。
「……ハァーーっ。あのですね、そこからですの?」
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