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僕の突然の無茶な要求に浅松さんは答えてくれた。車を運転しつつ、少し時間を置いてから仁さんに連絡を取ってくれた。どうやら親娘水入らずの食事が終わったであろう四十分後ほどか? そのくらいに返答が帰ってきた。
「来週末なら一時間ほど時間が取れるようです」
「……そこでお願いします」
まさかこんなあっさり時間を貰えるとは思ってなかったので多少狼狽したが、素直に頼む事にする。僕から会いたいだなんて、何かしらの大事な要件だと言う事を察してくれたのだろうか?
それならば、有り難い。
「臼井様、差し支えなければお聞きしても宜しいでしょうか?」
僕の家が近づいてきた時に、浅松さんは質問をしてきた。まあ、恐らくは一応の確認ってところだろう。浅松さんほどの人物ならある程度は察しているに違いない。
多分、僕の口から言わせたいのだと思う。これは僕が、ひいては久音にどのような感情を抱いているか、という事なのだから。
「……な、ナイショですよ? 久音には」
「もちろんでございます」
「本当かなあ……」
いつもと何も変わらぬ笑みに、そこはかとない恐怖を感じたが……僕は諦めた。
どうせ、バレる事ではある。
「まあ、普通の関係に戻っておこうかな。と。あ、別に仲悪くなる訳じゃないですよ?」
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