終幕と開幕。

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「……僕な。久音に謝らなきゃいけないことがあるんだ。多分、久音は怒ると思う。だから僕は人目のないここで、君に謝罪をする」 「私が怒りやすいようにですの?何故、怒るという前提で話を進めてるのかはわかりませんが……続けてくださいまし」 久音は不思議そうな顔をしていた。当たり前だ。普段の生徒会からして些細な事で彼女に迷惑をかけてる僕である。今更何を改まって頭を下げるというのか、という久音の疑問は最もである。 「……僕たち、前は犬猿の仲だったよね」 「そうですわね。顔を合わせるだけで喧嘩の毎日……今思うと、おかしいですわ。あの時の私には恋い焦がれていた人がいたのに」 「なんで、僕が嫌いな人と顔を毎日合わせ、喧嘩までしていたと思う?」 久音が、冷静な表情で僕を見つめる。 「……貴方の想い人が、同じグループに居たからではなくて?」 「勿論そうさ。でも、だからといって一々絡んで揉める必要なんて無い。好きの反対は無関心とはよく言ったもんだよ。僕はその人がいる人間関係の輪を崩したくなくて、出来るだけは無視を避けていたけども。でもシカトを出来る場面はあった。それをしなかった理由があるんだ、僕には」
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