終幕と開幕。

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「憎き敵から沢山の友達の一人、そう想いが巡る時、臆病で目を背けていた自分に気付きました。いつまでも、このままではいけない。影人も似たような気持ちを抱いたからこそ、今のような状況なのでしょう? 私だってそうですの。そしてこれまでの過程は散々話しましたし、省きますけども。私は貴方を愛し、今日も頑張れます。そんな影人を侮蔑すると?」 「……しないのかい?」 「私は貴方が葛藤し、罪悪感と本音の狭間で揺れ動いていたのを知っています。それに、仲の良い知り合いが失態を犯したら関係を切る?バカ言っちゃいけません。親友として、それを正すのは私の役目です!」 久音は、許すとは言わない。許す許さない問わず、それを口にすればこの話題はここで終わり、永久に僕が償う事無くこの事は流れてしまう。久音はどこまで考えているのだろうか。 「影人。私は貴方を攻めません。人間誰しも失敗はしますし、それにお金の魔力は強大です。私はこれまでお父様の名と功績を毎日と言えるほど近くで見続け、知りました。当時敵対していた私よりもお金を取るのは、一般の人ならそう考えて当然です。しかし影人は私と仲良くなり、お金で繋がる自分が嫌になったと言いましたね?つまり、影人の中でお金より私の方が優先度が高くなった。これは……私にとって、本当に……喜ばしい事、ですよ?」
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