プロローグ

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夏休みが始まった訳だけど、こんな長い休みがあっても何をすればいいかなんてわからないのよね。勿論、夏休み中の課題はやってる。学生の本分は勉強だからね。 私はどこにでもいる普通の高校2年生、桐生 霙 (きりゅう みぞれ) 普通なら誰にも負けない。 偏差値50の高校に通い、テストは平均点。通知表はオール3。学年順位も中間。身長、体重も平均。父親はサラリーマン。母親は専業主婦の核家族。髪は黒髪のショートカット。可愛いって言われることはあるけど、正直自信はない。告白されたこともあるし、お付き合いしたこともある。 でも恋愛が全てとは思えない。 特徴がないのかもね。でも普通が一番いいじゃない? 「みぞれ~?アイス溶けてるよ?」 テノールに近い、からかうような佳奈の声。 「あっ…」 最悪だ…お気に入りのワンピにチョコレートがべっとりと…… 佳奈は同性の私から見ても可愛らしくて、お人形さんみたいなくりっとした目に愛らしい小さな鼻と子猫みたいな小さな唇を持っている。性格も良いし別に僻みじゃないけれど、人を惹き付ける魅力がある。 「染みになる前に洗わないとね~♪」 間延びした口調も佳奈の魅力のひとつだと思う。 「だね!ゴメン!今日は帰る!」 「次はオールだよ♪またね~」 佳奈がひらひらと手を振りながら見送ってくれる。 またね…か。毎日佳奈と一緒にいるなぁ…佳奈は私と遊んでて楽しいのかな? 私はつまらない人間だと思う。何より自分に自信がないし、人の顔色ばかりうかがっている。一人ぼっちがこわい
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