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はじめから強い人なんて居ない。
強い気持ちってのはね。
何かを思い、
誰かを思う、
それこそが強さなんだよ。
君達が互いに思い合えれば。
「それが
君達一人ひとりの強さなんだ」
にっこりと微笑みながら白衣の医師はまた、グレーの髪をカリカリと掻いた。
強くない俺達。
だけど、それでいい。
強くなれる。
思い合えば、それが強さ。
隣の楝が
ずずっとひとつ鼻を啜った。
長い長い緊張から解き放たれたような、
そんな気がした。
俺だけじゃない。
慧里も楝も。
あれからずっと
緊張していたのかもしれない。
強くいなければ、
強くならなければと。
その想いが強すぎて空回る。
息切れ寸前だったのだろう、みんな。
それに気付いたのは慧里で、
救ってくれたのは、センセーだった。
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