狼のうた

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俺は狼 いつでもひとり なまくら爪と、 短い牙で、威嚇する 『こっちにくるな』 『関わるな』と 他者と関わったって良いこと無いし。 弱くなって依存しそうで怖いんだ だから、連むなんてウザいだけ。 【ねぇ、狼さん】 そちらを見ればウサギが一匹 小首を傾げてこっちを見てる 『俺に寄るな、関わるな。喰っちまうぞ』 俺の前から消えろ。俺の理性が消える前に。 【食べても良いよ?それで狼さんが満たされるなら。】 脅したにもかかわらず、ウサギは目の前から消えなかった。 【狼さん。あなたはそれで良いの?傷だらけで血だっていっぱい出てるのに。】 俺の一噛みでお陀仏の小さなウサギの癖に 『おれが…怖くないのか?』 【怖くないよ?やさしい狼さん】 よく見れば、脚が微かに震えてる 『嘘つけ。脚が震えてるぞ?』 本当は怖い癖に 何で俺なんかを気にかける? 【怖くないもん。これは……そう武者震い!!だって僕知ってるもん。その傷だって庇って出来た傷でしょ?】 ………何でそれを知っている。 【ねぇ、狼さん。ついて行っても良い?】 (…………………………。) 『ついてくるなら好きにしろ。ただし、命の保証はしない。』 おもむろに身を翻し、きた道を戻り始める。 【あ、ちょっ!ちょっと待ってよ狼さん】 俺の後ろから、ぴょこぴょこ必死に跳ねる音がする。 俺は狼 いつでもひとりだった なまくら爪と、 短い牙で、威嚇していた 『こっちにくるな』 『関わるな』と でも、まぁ 誰かといるのも、悪くない…か。
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