272人が本棚に入れています
本棚に追加
よろよろと立ち上がり、風呂場に向う。母さんが帰ってくる前に全部片付けなければいけない。こんなの見られたら、また心配させてしまう。
立ち上がると同時に太ももに伝った精液が気持ち悪い。けれど、ゆっくりもしていられない。
「痛……っ」
シャワーで湯を被ると、傷付いた所がしみて、思わず声が漏れた。泣いていたのかもしれないが、シャワーでわからなかった。
……………
風呂から上がり、床に付いた精液や血液を拭き取り、ここであった出来事を抹消する。たとえ、抹消しても事実は消えない。床に落ちていた携帯を拾うと、メールが一件届いていた。
そこには一枚の写真と愛の言葉が綴られていた。それは、俺が慶吾から逃げられないようにする呪いの言葉のように思えた。
『あいしてる』なんて、言わないで。
最初のコメントを投稿しよう!