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夜
この街は予想以上に明るくて太陽をどこかに探してしまう
見渡せばネオンが立ち並び
ある一定間隔に置かれた電灯はあまりの明るさでふてくされたかのように不規則に点滅を繰り返していた
少し歩くとそこには大きな通りがあって濁流のように車が行き交う
反対側には僕を求めるように人が向き合って立っていて
流れがなくなるのを待っていた
しばらく歩くと高架下の道路に出る
反対側には大きく口の空けた建物があって
緑色の錆びた屋根が歩道にまで突き出してトラックをおびき寄せていた
この建物の上には、錆びた屋根にふさわしいくらいボロボロの部屋が並んでいる
エレベーターを上がり長細く続いた廊下を歩く
右側は壁がなく
昼間のように星の見えない明るい空を立ち並ぶビルの灯りがそれらの代わりを担っているかのように瞬いていた
この廊下の一番奥に僕の部屋があって
必要最低限の家電と必要最低限以上の雑貨が僕を出迎えている
これが仕事終わりのいつもの風景
朝この道をなぞると駅があり
いつもと同じ時間に迎えに来る電車は、仕事という激しい束縛を表しているようでいつも気分が悪くなった
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