序章 決別の刻

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サルカンが剛の剣とするならば、ツァークは重の剣だ。 圧倒的攻撃力を誇る【牙龍剣】と、一撃のみに重きをおいた【御断剣】。 どちらも超攻撃型の流派であることには違いない。 刃と刃が重なる度に信じられない衝撃が手首から体に伝導する。 「気に食わないな」 「何がだ!!」 サルカンは手首を返して瞬時に剣を持ち変える。返す刀で別の角度からの一撃を叩き込むが、ツァークは剣の柄で防ぐ。 「その正義感さ。何事にも悪を許さない信念は大したものだな。だが同時に疎ましく思う」 ガッギィイ!!という金属音が交錯する。その剣の重みからサルカンは手首に痛烈な痛みを感じ、体制を大きく崩す。 「くっ・・・。正義を貫いて何が悪いんだ」 「腹立だしい。その全てを信じる眼、世界に不満を感じない眼、全て、全てが腹立だしい!」 ツァークが剣を大きく振るい、サルカンの剣越しに弾き飛ばす。 冗談ではない。こんなものを喰らい続ければ腕がおかしくなる。 「俺は知ったぞサルカン!この世界は腐っている!人間は誰かを利用し自分だけが成り上がって行く!誰かを犠牲にし己だけが満たされる!そんな世界に生きるのはもうゴメンだ!」
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