序章 決別の刻

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ツァークから吐き出される叫び。それはこの世の理不尽さを嘆いている子羊にも見える。 「なぜ誰かが犠牲にならなくてはならない!?なぜお前達貴族は誰かを利用する!?ふざけるな!俺は利用するぞ。お前達貴族もお前だ!俺の野望を果たすためには悪の道だろうが迷わず進む!たとえかつての主と差し違えてもな!」 ダッ!とツァークは疾走する。 適当な地面に剣をぶつけ、その衝撃で弾かれた石片がサルカンを襲う。 「そんな・・・ことはない。君の野望は知らないが、誰かを殺して達成される願いなんて間違っているはずだ。そんな世界に僕は・・・生きていたくない・・・!」 「ならば自害でもするんだな。この世界はお前が思っている程単純じゃない。俺は見てきたぞ、この世界の在り方を。お前が成り上がって行くその傍らでな・・・!」 それはツァークのサルカンに対する最大限の皮肉でもある。 つまりこういう事なのだ。 上の者だけが食事にありつけ、下の者は残飯を漁るしかない。 今までツァークはそんな思いをして来たのだ。サルカンの知らない所で、褒められもしない努力を。泥を噛む思いを。 だからこそ許せないでいるのだ。 理想論ばかりを述べ正義を掲げるサルカンの事を。
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