序章 決別の刻

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地底の奥のさらに奥。 地下を何百メートルと降ったその先には都市が広がっていた。 暗く、暗く、ひたすら暗い。 当然ながらここには人気など存在しない。 活気が無いの云々よりもはやこの都市は死んでいる。 言ってみればゴーストタウンだ。 しかしただのゴーストタウンではない事は一目瞭然。 ここには歴史がある。 その直感だけが私の歩を進ませていた。 興味深い。実に興味深い。 歴史探求家である私にとってここはなによりの御馳走であると同時、探求の終結点でもあるだろう。 見つけたのだ。 真実を。 およそ200年前、龍と虎の国が起こした戦争にまつわる真実を。 きっとこの記録は龍虎戦争の真相を記してあるに違いない。 そう信じて私は最初の1ページをめくる。 私の名はゼスト・サクロイフ。 龍虎戦争において黒幕バルディアの右腕として名を馳せたオセロン・サクロイフの汚れた血を継ぐ者だ。
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