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舞台は会議室へと移る。
会議室はこの国の重役や参謀役が一同に集まる場所なのでかなり広い。
いつもは窮屈に感じるこの場所も今は広く感じる。
なぜならここにはサルカン、ザイザーク、エルゼ、母のヴィリアンしかいないのだから。
会議室の一番先頭に座る一人の女性。地面スレスレまである栗色の髪。胸元に光る豪奢なアクセサリー。その容姿を一言で表すならば、女王と呼ぶのに相応しい。
「・・・成程の。ツァークがそんな事を」
サルカンはヴィリアンに先刻のいきさつを話した。
ツァークが父ジークリンデを殺した事、ヴィータを保険と称して誘拐した事、虎ノ国に亡命し戦争を起こそうとしている事、聖召石を奪った事・・・・・・全てを。
「父上を亡くした今、虎ノ国との戦争は回避すべきでしょう。戦士達の士気は勿論、向こうには聖召石がある。宣戦布告された時点で敗北は免れないでしょう」
兄のザイザークは冷静に物事を判断する。彼は【牙龍剣】の達人であり自らが【飛龍騎士団】を指揮する武将でもある。ただ、そこに私情が介入する余地などまるで無い。
「そもそも、我が国が虎ノ国に勝利したとてまるで旨味が無い。全く、厄介な事をしてくれるの」
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