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ヴィリアンもまた冷静だった。その気品漂う独特の言葉遣いがそれに拍車をかけている。
夫が殺されたというのに・・・・・・いや、その態度こそが上に立つ者の資格なのかもしれない。
いちいち悲しみにくれていては国など守れない。
そう暗に言われている気がした。
けれど
「お前には【飛龍騎士団】を用いて各地方の防衛ラインを築いてもらうとする。あとサルカ」
「いい加減にしろよ母上!!なんだその態度!!父上が殺されて悲しくともなんともないのかよ!!」
沈黙を破ったのはエルゼだった。まだ幼い少年に国を統べる者の気持ちを理解するのは早過ぎた。
「エルゼ・・・」
「ザイ兄もそうだ!!国?戦争?そんなのオレには関係ない!それ以前にもっとすることがあるんじゃないのかこのー・・・」
「エルゼ!!!!」
暴走するエルゼを止めたのはサルカンだった。大声を張り上げ声だけでエルゼを牽制する。
「黙っていろ。これは全て僕の責任だ・・・」
「そうだの。全ての元凶はあの薄汚い鼠にある・・・が、その元凶を保護してきたのはお前の責任でもある。だから私はあの時言ったのだ、そんな鼠は捨てて来いと」
「けれど僕は捨てなかった。以後10年に渡ってそれを擁護していた・・・。だからこの件は僕に任せて下さい」
「自らのすべき事はわかっているかの?」
「勿論。ーーツァークを殺す」
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