一章 終わる信念

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その後はこれからのバスディア家や龍ノ国についての話し合いが行われる。 その内容はまだ10歳であるエルゼにも無関係な事では無かった。 が、正直サルカンはどうでもいいと思っていた。 考えるのはツァークとヴィータについて。 サルカンの役目は単身虎ノ国に赴き、秘密裏にツァークを暗殺するというもの。 現時点で実質的な党首ヴィリアンの命令は、今は亡きジークリンデの命令に等しい。 逆らう気は無い。 ツァークは悪だ。 自らの人生に悲観し、全ての貴族に復讐を果たそうとする彼の思想は絶対的な悪であるといっても良い。 けれどもその要因を作ってしまったのは他ならねサルカン自身だ。 何が正義で何が正しいのか、真っ直ぐな正義を持つ彼の心は揺らいでいた。 「(ーー殺さない。君には償うべき罪を償ってもらう。ヴィータも助けて戦争も起こさない。それが今僕に出来る唯一の正義だ)」 そして 新たに始動したバスディア家が動き始める。
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