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「邪魔をしてくれるなサルカン。俺はもう止められない」
「ふざけるな!一体どうしたというんだ!」
ツァークの態度はいつになく冷静だった。まるで何事も無かったかのように、それがさも当然であるかのように。
「答える義理は無いな。ただひとつ、俺は今から虎ノ国へと亡命する」
「なあっ・・・!!」
その一言はサルカンを驚愕させるに有り余る言葉だった。
そんなことをすれば今後何が起こるかわからない程、サルカンもツァークも馬鹿ではない。
「本気か・・・?戦争が起こるぞ」
「構わない」
「どうしてだ。以前の、いや昨日の君ならばこんな過ちは起こさなかった!」
昨日までのツァークは何事もなかった。
幼い頃から現在に至るまで、そして未来の相棒となるはずだった。
信じていたのに。
しかしここまで来てもサルカンはまだ心のどこかで救いがあると思っていた。
実は全部嘘だった、という爽快で絶対に有り得ない幻想を。
「おまえの頭は平和だなサルカン。いいか、俺はずっと昔からおまえを疎ましく思っていた」
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