序章 決別の刻

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ピシャアァン!!と、かなり近い場所に落雷が落ちる。 一瞬、サルカンは自分の身に雷が落ちたのだと錯覚した。 それ程までにツァークの発した言葉は重い。 「所詮俺は捨てられた名も無い孤児だ。しかしおまえはなんだ?俺がどんなに努力しても決して越えることの出来ない血を受け継いでいる!俺がおまえの数倍努力しても、結局俺は誰にも認められず注目を浴びるのはいつもおまえだけだ!」 それは、ツァークの心の叫びだ。 長年溜まった葛藤や恨み嫉妬。それらが今ツァークの口から吐き出される。 それは聞いていてとても悲しいものだと思った。 「・・・俺はもうおまえに尽くすのはゴメンだ」 「ならばどうして父上を殺した!?殺すなら僕にすればよかっただろう!?」 「言わなかったか?答える義理はないと」 もうツァークに自らの声は届かない。 「だったらヴィータは解放しろ。その子は僕達の問題に関係無いはずだ」 「ああこれか」 声が届かないのならばどうするか。 答えは簡単。 「保険さ」 力づくで奪い返すのみしか無いではないか。 「貴様ァァァァァ!!」
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