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正直、サルカンは恐怖を感じていた。
考えたくはないがどうしても最悪の場合は、かつての友をこの手にかけなければならないことに。
だがそれはつい直前の話。
サルカンの中で何かが崩壊した。
「ツァァァァーク!!」
腰に下げたバルディアの名剣・レヴァンテインを引き抜く。
そのままツァークに接近する。
ツァークがどんな手で迎え討つかなどどうでもいい。
ただがむしゃらに走る。
大粒の涙を流して。
「ふんっ!!」
対してツァークの取った行動は実にシンプルだった。
左手で自らの剣を引き抜き、突進するサルカンの剣に打ち付けた。
それだけでサルカンが後方に数十メートルの距離で吹っ飛ばされる。
直前対峙したサルカンに疑念が生まれる。
今の一撃は人間の力か?
「ふん、怒りに任せた剣など恐るるに足らんな」
「くそ・・・。負けるかッ!!」
サルカンが自らの精神を奮い立たせ、再び立ち上がり剣を構える。
が。
「話にならん。俺が目指していた男がこんな奴だったとはな、正直ガッカリだ。もはや俺が相手をするまでもない」
そう言ってツァークが取り出したのは、一つの光る大理石。
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