序章 決別の刻

8/17
前へ
/49ページ
次へ
元々微弱な光を発している大理石が、カッ!と強く淡い光を発生させる。 「な・・・!!それは聖・・・召」 「聖召石。流石に知っているか。この世に幻獣を呼び出せる存在すら隠された聖なる石。・・・かの【大崩壊】の直接的原因がこいつらしいな」 「ツァーク、まさか・・・」 「おまえの相手はこれで事足りるだろう・・・。いでよ冷気の化身【メビウス】」 ツァークの持っている聖召石が一際大きな輝きを発する。 それだけで大気が地が空気さえも震え、時限を歪めさせる。 現れたのは全身が青色の艶やかな女性。 けれども人間ではないことは明らか。 彼女がその場にいるだけで周囲の空気が冷やされ、目に見える冷気となる。 それ、は何も喋らない。 一時的な契約者であるツァークの忠実なるしもべとしてサルカンの前に立ちはだかる。 「じゃあなサルカン。もう会うことはないだろう」 「待て!ツァーク!!」 黒馬に乗ったツァークが彼方へと走り出す。 追いかけることは許されない。 目の前にはこの世に君臨した異質な化身。 それもかつてこの世を崩壊させた化け物ときた。 「・・・どうする・・・?」 サルカンはわずかに重心を低く落とす。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加