本家

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僕は思わず困り顔。 僕が母さんとそっくり? んん…、ちょっと心外だなぁ…。 「ほらほら宗一郎!読経しなさい読経!ショウセイちゃんと猛特訓したでしょ!」 母さんが囃し立てる。 僕はわざとらしく咳払いしてお地蔵様に向き直す。 息を一吸い、読経。 背後で片瀬家の面々が手を合わせてるのは気配で分かった。 読経しながら異変に気付く。 あの片瀬家の人達が徐々に心を『開いて』いた。 『産めなくてご免なさい』『天国に行ったらまた私の所に来てちょうだい』『今度こそ親子になりましょう』…。 清らかな『願い』だった。 読経する声が震える。片瀬家の人達も素直に涙を流していた。 このお地蔵様に供養されてる水子霊達、どうかまた会おう。 僕と遊ぼう。キャッチボールでもいい、ゲームでもいい 、なんでも付き合うよ。 今日は抜けるような晴天。 清らかな『願い』は『想い』になって、無音のまま天に登って無音のまま響いた。
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