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「うおぉ…!寒いぃ…!」
アタシ、塚本喜恵ちゃんは寒風にさらされながらの帰宅。
今日みひろは風邪ひいて学校をお休み。宗一郎君は見舞いに行くのに一足先に帰ってる。
部活終わり、寂しい一人下校。
「あぁ…、愛が欲しい…」
モテてぇー…、超モテてぇー…。
親友にはカレシがいてアタシにはいない。
なにこの差別?自分でいうのもなんだけどアタシまぁまぁ可愛いわよ?
「あーもー!なんなのよ!」
冬の寒さが一人身にしみる。
ホントなんなの!?アタシこれでもDカップあるのよ!?
それを宗一郎君に言ったら「ムダチチ」って言われるし! なんだムダって!揉んでから言え!
「ん…?」
ふと見ると女の子がいる。
小学一、二年?赤い頭巾をかぶって小さな手にハァハァ息を吹き掛けてた。
「どうしたのこんなトコで?」
女の子は何も答えない。熱心に手を暖めていた。
「知らない美人のお姉さんに話しかけられて恥ずかしいの?困ってるなら言いなさい。助けてあげるわよ」
女の子は手を暖めるのをやめた。
「助けて…、くれるの…?」
それだけを、妙にゆっくり言った。
「えぇ。助けてあげるわよ」
「じゃあ…」
女の子は人形のようなぎこちない動きでこっちを見た。
「マッチョ買って…」
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