無くした記憶1

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「まったく……お前もうちょっとは早く起きれねぇのかよ!!」 『違うわよ!お弁当作ってたのよ!!』 もう2年生の中間まで時期が来ているというのに、今日も朝から大きな声で学校に登校しながら口喧嘩しているこの2人は、幼馴染みの塚本蓮と井上葵。 十番高校。そこは、とてもスポーツの盛んな高校。スポーツには全力で力を入れる学校。 中でも強い部活と言われるのが…野球部とソフトボール部。選抜で選び抜かれた何人かが入る事が出来る部活。 そんな学校に、蓮と葵は入った。 幼馴染みの蓮と葵は毎朝一緒に登校している。それは、小学校の頃から変わらないこと。 朝の口喧嘩は、教室に入ってからも続いていた。周りの人はみんな、幼馴染みだから…という気持ちでいるのであまり気にしていない様子でそれぞれみんなで話している。 「何度も言うけどなァ……お前は本当に朝には弱いよなぁ……。」 『だから!お弁当作ってたって言ってんで…………』 蓮と葵が隣り同士の席に着いてからも口喧嘩していると、後から声をかけられた。 「相変わらず仲良いねぇ、2人は。」 声をかけてきたのは、野球部の佐藤隼人と、ソフト部の泉千佳。隼人は小学6年から蓮とバッテリーを組んでいる仲。 千佳は中学3年の時に葵とバッテリーを組んでいた。2人共キャッチャーを勤めている。 「おぅ、隼人、泉。」 『隼人君、千佳、おはよう!!』 蓮と葵が隼人と千佳にそれぞれ挨拶する。隼人と千佳も、おはようと言いながら隼人は蓮の前にある自分の席に着き、千佳は葵の前にある自分の席に着く。 「さて、今朝は何があったのかな??」 蓮と葵を交互に見ながら隼人が聞く。 『ちょっと聞いてよ隼人君に千佳!私は悪くないのに蓮が!!』 「って俺かよ!!」 2人がまた言い争っているのを見てクスッと笑うと千佳は、 「2人って付き合ってるの??」 と聞く。 「『はぁ!?そんな訳(ねぇよ!!/ないよ!!)」』 蓮と葵は言葉が重なった為、お互いに顔を見合わせる。隼人はお腹を抱えて笑い、千佳がクスクス笑っている。 それにつられて、クラスのみんなも笑う。みんなで笑っていると、教室の扉が勢い良く開いた。    
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