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「ねえ、円香はどうする?」
クラスメートの翠川愛美(ミドリカワ マナミ)が顔を覗き込んで来て、ハッと我にかえった。
午後は自習にするから、その間に学級委員を中心に修学旅行のグループ分けをしておきなさい、という担任の言葉を聞いたのはついさっきのこと。
修学旅行のグループ分け、そんなどこかシビアなことからスルリと逃げてしまった担任の要領のよさに感心しながら窓の外を眺めて、そのままぼーっとしてたみたい。
あたし、赤城円香(アカギ マドカ)。14歳、中3。
愛美の言葉にのろりと顔を上げて、いかにも面倒そうに肩をすくめた。
「入れてくれるの?」
特に何も考えずにそう訊くと、愛美の後ろにいた2人の女子がプッと吹き出して、あたしを見る。
「やだ、円香外してどうすんの」
「円香に意見聞きたくて、あたし達来たのに」
彼女らの軽い口調の中に独特の気配がして、あたしは溜め息をついた。
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