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かたちのないしあわせ
『かたちのないしあわせ』
あのひから、ちょっとだけゆうきがだせるようになった。
あなたをみつけて、はなしかけられるようになった。
ずっとあなたをみてることしか、できないっておもってたから
こんなふうに、いっしょにおはなししたりできるのは
すごく、しあわせ。
「ほんとは、もっとあなたのそばにいたいのに。」
そのことをいえなくて、
いおうとしても、ことわられるのがこわくて
(いまのままで、いいかな)って…
そんなことまで、かんがえはじめた。
「やっぱり、もっといっしょにいたい!」
あなたとあるく、かえりみち
あなたのすこしうしろを
いつもみたいに、あるいている
いつものように…、あのひのように、てをつないで…
「カミサマ…どうかわたしに…勇気をください!」
わかれみち、あなたとてをはなす。
ほんとうは、あなたのてをはなしたくなかった。
(このてをはなせば…また、いえなくなっちゃう…)
ほんのすこしのきょりなのに…
…なのに、とおくかんじる
どれだけてをのばしても、とどかないような…
それから、すこしだけ、じかんがとまったきがした。
あなたは、「それじゃ」っていって
てをふってあるきだした。
「まって!」
わたしが、おおきなこえをだして、あなたにいうと
あなたはたちどまって、ふりむこうとした。
でも、わたしは、あなたがふりかえるまえに
あなたをおいこして
あなたのまえにたった。
やっぱり、あのときみたいに、すこしおどろいたかおをしてた。
わたしは、いきをととのえて
あなたのめを、しっかりみて
ホントのきもちをつたえた。
「あなたが…好きです!」
あなたは、わたしのめをまっすぐみて
「ありがとう」
といって、わたしのあたまをなでてくれた。
わたしは、あなたのてにかるくふれて
もういちど、あなたのめをみて
「てを…、つないでいいですか?」
あなたが、おしえてくれたこと
それは…
『しあわせは、かたちあるものだけじゃない』
…そんな、あたりまえで
きがつきにくいこと。
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