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お風呂を沸かす。
私は思ったよりのんびり屋らしい。
少ししか怖いと思わない。
服を脱ぐ。それらを全て洗濯機につっこむ。
「…、はぁ…」
身体にシャワーを浴びせてから、湯に浸かる。
気味の悪い静けさ。
お父さんが観るテレビの音も、お母さんが食器洗いをする音も、祐太が携帯ゲーム機で騒ぐ声も、いつもの音は無い。
ポチャン。
ポチャン、ポタポタ。
私は体育座りになり、俯いた。
なるほど、私は怖いのか。
涙は止まらない。
しゃっくりあげる程に泣く。
でも私が言うのは、やっぱりコレ。
「帰りたい…帰り、たい、よぉ…帰りたい、帰りた……帰りたい…」
『口癖になってるよ』と注意してくれる家族はいない。
私はお湯の中に潜った。
ぶくぶく。
「帰りたい」
酸素が逃げるばかりで、声にならない。
頭と身体、顔を洗い風呂を出た。
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