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私を含めた生徒たちが、学校の校門から吐き出される。
帰りたい。
早く帰りたい。
さっきからずっと考えている。
もう帰れるのに。
帰宅する。
「ただいま。帰りたい」
「おかえり、アンタ何言ってんの?」
我ながら変な事を言ったな。帰りたいだってさ。
ここは私の家。
弟とお父さんお母さん私の四人暮らし。
それなりに裕福な生活。
あまりレベルの高くない高校に通う私の最近の口癖は、
「帰りたい」
家に居ても、そう言ってしまう。
私は階段を上がり、自分の部屋へ行く。
「帰りたいなぁ」
どこに行く気なの。
自分。
「帰りたい、帰りたい帰りたい帰りたい」
最近ひどい。
帰りたいと言う自分の声はまるで別人。
「帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい」
ベッドに座ったまま呟く私。
お母さんが夕食の完成を告げる声があるまで、そのまま。
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