異変

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私の口癖はエスカレート。 入浴時にも布団に潜った時も食事の時も、「帰りたい」。 お母さんに注意されてしまった。 弟の祐太にも五月蝿いと怒られた。 「ごめんね」 私は目を瞑る。 すぐに寝付けた。 布団の中、気持ちいい。 「ん…」 私は目を覚ます。 朝日が、カーテンの隙間から漏れている。 いつもの小鳥の囀りは聞こえない。 私は部屋の壁にかけられている時計を見た。 「…?!」 短い針は9を、長い針は15を指していた。 遅刻じゃない! ベッドから飛び降りて、パジャマを脱ぎ捨て、制服を着る。 昨日のうちに時間割りを調べておいてよかった。 鞄をひっつかみ、部屋を飛び出し、階段を駆け下りる。 やけに静かだった。 いつもはお母さんが起こしてくれるのに。 「お母さん!今日は土曜日じゃないんだよ!?」 リビングに下りる。 誰もいない。 「ご飯も用意されてない…、まぁいいや」 私は基本的にのんびり屋なのだ。 ここまで遅れたら諦める。 食パン一枚にジャムを塗り、ゆっくりと家を出る。 髪を梳くのは着いてからでいいや。 顔は出る前に濡れたタオルで拭いたし、簡単に歯も磨いた。 両親は多分、自室で寝てるのかな。 いや、出かけたのかな。 「あっ、祐太」 起こせばよかったかな。 いるかどうかも解らないけど。
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