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ほんとに静か。
大通りなのに、車が一台も通ってない。
バスは待たない。
自転車で向かう。
人が、いない。
今日は静かだなぁ。
「…?」
みんなの靴箱には上靴しか入っていなかった。
誰もいない。
あれ?今日は休みだっけ?とりあえず教室に行こう。
誰もいない。
「?」
休みなのかな。
職員室にも行った、先生たちはいない。
「…帰ろう」
自転車に跨る。
冷たい、大きな風が吹いた。
ぞくり。
嫌な感覚。
異常に静かな街。
いつもは色んな人たちが忙しそうに歩き回っているのに。
私はケータイを取り出す。
友達に電話をする。
──この電話番号は、現在使われておりません。
「?」
アドレス帳に登録してある人にかける。
どれも使われてなかった。
いつの間に変更したの。
自転車のペダルを動かす。
「ただいま」
シンとしてる家。
「まだ寝てるの?」
両親の部屋へ行く。
誰もいない。
使われた形跡がない。
「?」
蒸発?…いやまさか。出かけてるんだ。
「祐太ぁー」
ノックを省略して、足を踏み入れる。
ベッドは誰かが寝ていたような形跡は無い。
「…?」
近い友達の家に、走って向かう。
チャイムを鳴らすが、誰も出てこない。
その隣の家も、知らない家だけど、その隣の家もその隣の家も。
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