36人が本棚に入れています
本棚に追加
この日は連日の悪天候の所為で、空色は更に悪くなるばかりだった。
さした傘から滴り落ちてくる雨粒は、絶え間なく俺の耳を支配した。
「うるさい……」
音と声が重なって、感じていた不快感は増していく。
――全く、煩わしい。
背後から聞こえる笑い声、鳴り響くクラクション。
それはそれは酷く不快なものだった。
「確かにうるさいな。事故でも起きたのだろうか…」
はっとして、俺は現実に引き戻されていた。
周囲から孤立していた隙に、突然の一声。
「………あぁ、うん、そうだね。全く。」
驚いた訳ではない。不意を突かれて正気に戻っただけだ。
最初のコメントを投稿しよう!