1,音と温度

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自分から手を繋がせてくれと頼んだ癖に、俺は未だ手を握れずにいた。 距離は近い。 だが、彼と目を合わせる事が急に気恥ずかしくなって、中々先へ進めなかった。 「……何故避ける、佐助」 彼の問い詰める言葉に狼狽えて、俺はいつの間にか、彼との距離を段々ととろうとしていた。 頭よりも体が素直なんだな。 自分でそう皮肉に思った。
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