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体育館をまわり、裏の部室に着くと、青司は眉をひそめた。
「…?」
ドアが僅かに開いている。いつもは荒らされないように鎖を巻いて南京錠を掛けているというのに。だからニ十センチ弱くらいしか開かないのだが…。
窓には錆びてはいるが格子が付いていて、侵入は不可能である。
青司は不信に思いながら、ドアの隙間から部室の中を覗いた。
パイプ椅子にはブレザーと牛柄のリュックが掛かっている。
さらに中を覗くと、この部室には無い脚立が中央に立っていた。
──カシャッカシャッ
乾いたシャッター音が空気を噛む。
脚立の上には、白いフードを被って体制を低く保っている、あの女子生徒がいた。
「おい、コラ糞ガキッ」
「うわあっ!」
じゃらじゃらと鍵を開けて鎖を落とし中に入ると、驚いた女子生徒はバランスを崩してカメラを抱え脚立からまっ逆さまに落ちていく。
「おいっ」
青司は反射的に駆け出し、腕をめいっぱい伸ばす。
ガシャン、と大きな音をたてて脚立が倒れた。
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