事件

2/2
前へ
/17ページ
次へ
人だかりの中の一人が私達に声をかけてきた。 『あんたら観光客かい?嫌な時に来ちまったなぁ』 私達はその少女をもう見ることが出来ず、ただ、『大変ですね』『殺人ですかね』と返していた。 警察が駆けつけて、私達見物人はみんな外に出され、軽く質問をされた。 ただ、警察も島の人もみんな私達には優しく、でも少し余所者として扱った。 『これは殺人ですね。』 警察の人が言った。 腹部を刺された痕があり、まだ凶器が発見されていないが、おそらく包丁のような鋭いものだということだ。 殺されたのは、島の住人らしい。 顔見知りの犯行だろうと決めつけていた。 私達は犯人がまだウロウロしているかもしれないからと、警察の人に連れられて旅館に帰ることになった。 嫌なことにパトカーに乗せられて旅館まで移動した。 旅館の奥さんと黒いオジサンもそのニュースに驚き、私達が旅館に入るやいなや、玄関の鍵を閉めた。 『お客さん無事で良かったわ』 奥さんは安心するように優しく微笑みかけてくれた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加