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私は今、家族と旅行中だ。 夏真っ盛りの学生特有の夏休みというものを、満喫している。 蒼い空、白い雲、ゴウンゴウンと轟音を立てながら、軽快に海を進む小さな船。 小さく水しぶきを飛ばしながら、私達家族と、船乗りさんを運んでくれる。 『今日泊まる旅館ってどんなところなんかなぁ?』 私より3つ年下の妹が、揺れる波を見下ろしながら少し声を張って言った。 『静かでご飯が美味しいらしいで』 少し白髪が混ざった小柄で童顔な父が、シワを刻みながら小さく微笑み答えた。 『楽しみやなぁ』 少しふくよかで、束ねた癖のある髪を風になびかせながら、妹も小さく微笑み答えた。 私達はこれから、ある小さな島に泊まりに行く。 海と空気が綺麗で、魚料理が美味しいらしい。 家族の中で一番小柄な私は、長い髪を風になびかせ、妹と同じように波を見下ろしていた。 『多分、あれちゃうかな?』 妹と同じく少しふくよかで癖のある髪をした母親は、眼鏡の下で目を細め、水平線の先に見える小さな船着き場を指さした。
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